大学院に進むべきか?就職すべきか?悩んでいる大学生へ
学部2、3年の学生さんにとっては、今の時期に将来のことを考える機会も多いかと思います。
私も大学院に進むか就職するか悩んでいた時期がありました。両親は文系でサークルの先輩も文系の方が多かったので、院進の相談をしても有益な情報は得られずもやっとしていました。
どちらの道を選んでも自分の人生が大きく変わることは間違いありません。
私はどちらか片方が絶対にいいなんて言いきれませんし、無責任なおすすめはしません。
こういうことは自分で決めないと将来必ず後悔するからです。
結局私は大学院で他大学を受験するという決断をしました。
そして、その選択に悔いはありません。
みなさんも自分にとってベストな選択ができるように、判断材料をいくつかご提供したいかと思います。
目次
大学院って何するところ?
大学院は基本的に研究をするところです。
研究テーマは人によって様々ですが、多くの場合は所属する研究室の教授と相談して決めます。
ですが、実際は卒業に必要な授業を履修したり、就活を同時並行で進めたりしているとあんまり研究する時間はないものです。
大学院生の2年間のスケジュールは大体こんな感じになっています。
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修士1年4月:入学、研究室に配属、前期の履修科目を選択
修士1年9月:後期の履修を選択、業界研究や自分の軸探し
修士1年3月:エントリー解禁
修士2年4月:OBと面談(建前上、面接とは言わない)
修士2年9月:内定解禁⇒内定を頂く
修士2年3月:卒業
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大学院生のスケジュールを見て分かるように、2年間という期間はあまりに短く、効率的に研究を進めていかないと結局何も残せなかった・・なんて事にもなりかねません。
2021年から就活ルールがなくなり、今までのような○月に××解禁!みたいなタイミングがなくなっていきます。
すると、企業側も早期選考を進めてくると考えられるので、このスケジュールも大きく変わってくることは間違いないでしょう。
恐らく、早ければ修士1年の夏インターンのタイミングで内々定の確約がでるようになると思います。
志望度合いの高い企業から早いタイミングで内々定をもらえれば、研究に費やす時間が増えます。一方で、就活が思うように進まなかった場合、2年間をずーっと就活しつづけて研究がほとんどできなかった・・なんてこともあるかもしれません。
大学院に行ったら就活で有利?不利?
次に大学院に行くことで就活にどのような影響がでるかということについて話していきます。
前の就職氷河期の頃などは「博士課程は出てみたけれど・・」っていう高学歴ニートなんて言葉が流行ったりしました。
今は逆に就活バブル絶盛期です。私の所属している学科に関して言えば、去年の6月の面接解禁の段階でおよそ9割以上の人が最低1社は「内々定の確約」を貰っていました。残りの人も学科の就活担当の先生の指導の下、全員進路を見つけることができたみたいです。
ここ2,3年逆に学生を取りすぎて、今年以降は徐々に採用人数を減らしていくっていう噂も聞いてはいますが、突然再び就職氷河期になることはないでしょう。就職氷河期に学生を取らなかった結果、今頃になって人手が足りなくなるというしっぺ返しを企業は経験しているからです。
先ほどの、就活ルールの撤廃の話にも関連してくる話ですが、インターンに行ったり、業界研究をしたり、OB訪問したり、と就活でやるべきことを一つずつやっている学生はむしろ早期で就活を終わらせることができるようになると思います。
つまり、私が思うに、修士課程に進んだから就活に不利になるということはないということです。
一方で、修士課程に進まなかったから就きたい業種が限定されてしまう・・ということはよく聞く話です。
例えばメーカーに就職した場合、研究職などは修士卒以上の学生が優先的に採用されます。学部卒の学生は開発職に就くことが多いです。
大学院ってどれくらいお金がかかるの?
でも、大学院に行くお金がないし・・って心配になる方もいるでしょう。
私も学部の授業料は両親に出してもらいましたが、「大学院は自分で出しなさい。」と言われたので、今は日本学生支援機構の奨学金で大学院に通っています。
授業料が安い国立の大学院に進むことを決めた要因もこれが結構大きかったりします。
私の所属している工学系研究科の場合、国立の授業料が年間55万円くらいなのに対して、私立の授業料はおよそ倍の100万円程度必要です。結構な大金ですが、それでも大学院の授業料は学部の授業料よりもずっと安いです。
さらに、奨学金には第一種(無利子)と第二種(有利子)の物があり、第一種ならば利子がない分、社会人になってからゆっくり返していけばいいのです。
しかも、第一種には優秀な研究実績を残した学生に対する返還免除制度があり、上手くいけば全額免除、半額免除といった幸運に恵まれるかもしれません。
ちなみに、全額免除の場合は月8万8千円×24ヶ月=211万2千円の借金がチャラになるのです。
修士卒と学部卒ってお給料は違うの?
修士卒と学部卒だと生涯年収が大きく異なります。
内閣府の出している論文によると、男性労働者の場合、24歳の時点では院卒の年収が309万円、学部卒の年収が325万円となっており、学部卒の方が高いことが分かります。
しかしながら、その次の年には逆転が起こり、52歳の時点ではおよそ200万円も年収に開きがでるということのようです。
先ほど大学院の学費が約200万円だったことを思い出してください。このデータが正しいとすれば、大学院に行く費用はたったの一年で元が取れるということになります。
このことから分かることは学部卒と院卒では出世のスピードが違うということです。
原因は色々考えられますが、これは紛れもない事実なのです。
ESRI Discussion Paper No.310 大学院卒の賃金プレミアム ―マイクロデータによる年齢-賃金プロファイルの分析―|内閣府 経済社会総合研究所
一旦就職してから大学院に行くことはできる?
就職して、働きながら修士課程や博士課程を取るということは不可能ではありません。
文部科学省の調査によると修士課程に占める社会人の割合は約11%、博士課程に占める社会人の割合は約38%となっています。
このことから、学部卒で就職してから修士課程に行くというのは珍しい一方で、修士卒で就職してから博士課程に行くのはよくあるケースだということがわかります。
さいごに
修士卒の方が学部卒よりも有利に見える事例ばかり紹介してしまいましたが、学部卒で就職した場合、修士卒よりも2年早く社会に出ることになりますので、その分多く社会人としての経験を得ることができます。
早く社会人になって親を安心させたい、研究が大嫌いだ、第一志望の企業から既に内定を貰っているなど、確固たる理由がある場合は大学院に進学する必要はないと思います。
一方で、やりたいことが見つからない、まだ社会人になりたくない、って思う方はとりあえず大学院に行ってじっくり腰をすえて研究する 選択肢も悪くはないかと思います。
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